第14話  ハードな環境も味方に付けて

 建築撮影のアングル選びは写真家に任される
場合と、細かに設計事務所から指示される場合
がありますが、私は任される事の方が多いでしょ
う。
 設計者がプロの使うレンズを把握している方で
ある場合、概ね撮りたい概略を伝えてくれて、そ
して任せて下さることが多い。 この方法が一番
いい写真が仕上がる手段と思います。
 逆のケースもあります。 自分のカメラと比較して、
写真にはここからは撮影するのは無理だと思った
り、とんでもなく広い範囲が写ると思い込んだりと、
人により対応に困る場合も生じます。

 すべてを任された場合、仕事はし易いのですが、
その分責任もあり、また仕上がってからの評価も
気になるものです。
 いい条件の現場などそう沢山あるわけでなく、
場面によっては相当悩んでしまいます。

 これはショッピングセンターの撮影ですが、ここ
の敷地と建物形状は写真家泣かせでした。 
表通りからはメインの建物形状が見えず、見える
のはアプローチ部分です。  この外観から解るよ
うに、下のカットの撮影は引きが足りなく、大型カ
メラでは不可能なアングルです。 当然奥行きも
あり、通路部分はこの写真で見るよりずーと暗い
状態でレタッチ無しでは使えません。 何とかまと
まり感のある絵にしようと自ら選んだアングルです
ので、上手く表現できた時は格別です。

 複数の写真で構成するわけですから、写真家は
ストーリー性のある場面を考えております。
 その話を構築するのも写真家の能力の一つと、
私は考えます。

(ラプラ中央林間 EOS1Ds+SIGMA12−24)