第27話  形状修正を前提にした撮影方法 (1)

 今回は、建物形状の修正を前提とした撮影について
私の写真ではなく、日常的に行っていない方の写真を
例に説明してみようと思います。

 例に取上げました写真を、通常の見上げと思えば何の
問題もない写真ですが、コンピュータで形状処理を行う
場合はちょっと問題です。

 垂直の出た写真にしようと思う場合、やはりビューカメラ
で撮影する要領を無視してはいけません。 カメラを水平
に構え、あおりで上方まで写す場合に可能な範囲を大きく
逸脱してしまうと、修正といえども困難になってきます。

 この見上げ方では、かなり高いビルを写しても可能な
範囲が写っています。 しかし写真家は通常の感覚で見て
しまい、ビューカメラでは写りえない遥かな空へ向いている
ことを忘れがちです。

 実際の処理の過程で、どのように画像が変化するのかを
ご覧下さい。  形状を変えることによって、コンピュータが
行う比率計算が、最初はアホな感じに見えますが、実に理
にかなっていることが分かります。

 大きさはまちまちですが、画面の比率やトリミング操作は
一切してありません。 

 初めに垂直を出すため、つぼまっている分だけ広げます。
その時、建物が縮み空の分量がぐっと増えます。
次に足元から使える部分をトリミングし、縮んだ建物の上下
比率を拡大します。
 通常の範囲ですと、自分で考案した計算で大体うまくいくの
ですが、限度を超えると車のタイヤや明らかに形状の分かる
物を参考に拡大率を決めていきます。

 この結果から分かりますように、空の分量はこの半分から
3分の1程度で十分で、拡大率が大きくなった分だけ画像の
荒れを招くようになります。

 くれぐれも、見上げ過ぎにはご注意を。